写真の説明: 2025年10月24日と25日に開催された第35回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会で訪問看護ステーション芍薬の小池輝看護師がポスター発表する様子
第35回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会でGCI芍薬訪問看護の小池輝看護師がポスター発表しました。ネーザルハイフローセラピーが在宅で、感染症罹患後のご利用者のADL改善、自己効力感と 社会的役割の再獲得に寄与し、スピリチュアルペインが緩和したという発表でした。多職種がお集まりになっている歴史ある学会でこのような発表の機会が得られたことに感謝しつつ、他のセッションにも参加してきました。
新潟での学会参加を通じて感じたこと
2025年10月24日(金)と25日(土)、新潟市中央区の朱鷺メッセ新潟コ ンベンションセンターで開催された「第35回日本呼吸ケア・リハビリテー ション学会学術集会」に参加してきました。 訪問看護ステーション芍薬から、在宅でHFNC(High Flow Nasal Cannula)を使用しているCOPDの方の症例報告をポスター発表してきたのです。 学会のテーマは「2025年 はばたくとき ~生き・活き息・意気投合~」。 四半世紀を迎えた学会の節目として、改めて「呼吸ケア・リハビリテーショ ン」の本質を問い直す、そんな集会でした。 この学会参加を通じて、私が感じたこと、そして「非がん性呼吸器疾患の 緩和ケア」という領域が、これからの医療にとってどのような意味を持つ のか。そのことについて、今回お伝えしたいと思います。
「聞く側」から「発表する側」へ
今回の学会では、「非がん性呼吸器疾患の緩和ケア」の重要性が語られて いました。それは、単なる学術的なテーマではなく、日本の医療が直面し ている、極めて深刻な課題だと感じます。 私たちが学会で受け取ったメッセージの中で、最も強烈だったのは、以下 の通りです。
「非がん性呼吸器疾患における『緩和ケア』とは、終末期だけのものでは ない。診断後、病状が安定している時期から、人生のあらゆる段階におい て提供されるべきケアである」
「非がん性呼吸器疾患の緩和ケアは、『呼吸リハビリテーション』そのも のが緩和ケアの手段となり得る。日常生活動作を支える関わりこそが、緩 和ケアなのである」
COPD、間質性肺疾患、その他の呼吸器疾患に罹患している患者さんたち が求めているのは、「死ぬまで待つ」ことではなく、「今、この瞬間に、 いかに生活の質を保ちながら、自分たちらしく過ごすか」という支援で す。
その支援を実現するために、呼吸リハビリテーション、姿勢調整、送風療 法、安楽呼吸の訓練――こうした非薬物療法が、医学的な根拠を持った 「第一選択」となるべき、という考え方が、学会全体で共有されていまし た。 非がん性呼吸器疾患患者さんの多くは、「なぜこんなに息が苦しいのか」 「どうしたらこの苦しさから解放されるのか」という、深刻な悩みを抱え ながら、充分な支援を受けられていないのが現状ではないでしょうか。 そうした患者さんたちに、どのようなアプローチで向き合っていくのか。 それが、この学会におけるテーマでもあり、私たちの実践における最大の 使命でもあると私は受け取りました。 呼吸筋マッサージ・胸郭可動性ストレッチなどの呼吸リハビリテーショ ン、姿勢調整、送風療法、安楽呼吸の訓練。こうした技術は、医師にしか できない外科治療や薬剤に頼るのではなく、看護師やセラピストの「知識 と体」によって提供されるものです。
この領域の「これから」と私たちの進む道
非がん性呼吸器疾患は、これからの日本の医療における最重要課題の一つ です。超高齢社会の進行に伴い、COPD、間質性肺疾患など、慢性呼吸器 疾患の患者数はさらに増加します。 その時に、患者さんたちが直面する「呼吸困難による苦しみ」を、社会全 体でどのようにサポートしていくのか。 診療報酬制度の見直し、在宅での緩和ケアの発展、看護師としてどのよう に手を差し伸べることができるのか。こうしたことすべてが、今、問われ ています。 私たちは、現場での実践を通じて、そうした社会的な変化を促していきた いと考えています。
終わりに
診療報酬の壁があっても、やれることはあります。むしろ、やるべきこと があります。 GCI芍薬訪問看護は、その信念のもと、今後も先進的に、この領域での実 践を高めていきます。
サマリー
第35回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会 参加報告
(GCI芍薬訪問看護 小池輝看護師ポスター発表)
開催概要
- 日時:2025年10月24日(金)・25日(土)
- 場所:朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター
- テーマ:「2025年 はばたくとき ~生き・活き息・意気投合~」
発表内容
- 演者:GCI芍薬訪問看護 小池輝看護師
- 演題:在宅でHFNC(ネーザルハイフロー)を使用したCOPD症例報告
- ポイント:
- 感染症罹患後のADL改善
- 自己効力感・社会的役割の再獲得
- スピリチュアルペインの緩和
学会で得た重要なメッセージ
- 非がん性呼吸器疾患における『緩和ケア』とは、終末期だけのものではなく、診断後病状が安定している時期から提供されるべき
- 非がん性呼吸器疾患では『呼吸リハビリテーション』そのも のが緩和ケアの手段であり日常生活動作を支える関わりこそが緩 和ケア
所感
- 「聞き手」から「発表者」への転換で、臨床経験を言語化する重要性を実感
- 多職種との交流を通じ、関心領域の広がりを確認
- 発表を通じて、より主体的に学会に参加できた
今後の課題と展望
- 超高齢社会で増加する慢性呼吸器疾患への対応は日本医療の重要課題
- 在宅緩和ケアの発展、診療報酬制度の見直し、看護師の役割強化が必要
- GCI芍薬訪問看護は「診療報酬の壁があってもやれることをやる」という信念で実践を継続